「低次元トポロジー」というネーミングについて

「低次元」と言われると皆さんはどのような印象を持たれるでしょうか? 2次元・3次元・4次元といったそれぞれの次元において現れる固有で本質的な現象(例えば「結び目」など)を研究する位相幾何学の事を「低次元トポロジー」といいます. このネーミングは,時として誤解(?)を生みやすいものかもしれませんが,たいへん奥ゆかしいネーミングとして,私は愛用しています.

近年の私の研究内容

先に書きました「固有の現象」といっても,それには様々なものがあり,私が現在対象としているものは閉曲面(すなわち向きづけ可能な閉2次元多様体,このごろは向き付け不可能な物も考えたりします)の写像類群です. 閉曲面は非常に古くから分類は完成しており,そういう意味で非常に単純な対象といえますが,その上の写像のイソトピー類群を考えると,定義の明快さにもかかわらずその実態は現在でも謎に包まれています. 例えば,Heegaard 分解と言うものを通じて,まだ未解決である3次元多様体の分類と関わっていることからも,いかに不可解な物であるかお分かりいた だけると思います.

現在,写像類群についてはいろいろな観点から研究が行われていますが,私自身は,閉曲面の写像類群の幾何学的な意味のある部分群(例えば,3次元ハンドル体の写像類群,knotted surface の写像類群,spin mapping class group,level 2 部分群等 )について研究しています.


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