シャープとナンバーサイン


先日、『ダーリンの頭ン中』 という漫画を読んでいたときのことです。これは、 『ダーリンは外国人』という漫画の続きで、 語学マニアの外国人の夫をもつ女性の漫画家が、 彼を面白おかしく紹介しているというものです。 タイトルはアレですが、日本人との感覚の違いが読み取れて、 なかなか勉強になります。

気楽に読んでいたのですが、私にとって衝撃の事実が載っていました。 プッシュホンの電話の右下のボタン、通常は「シャープ」と呼びますが、 実はシャープではなく、「ナンバーサイン」もしくは「ハッシュ記号」というのだそうです。 下の図は TeX で出力したものですが、左がシャープ、 右がナンバーサインです。シャープは数式環境で \sharp、 ナンバーサインは \# として出力させます。



手で書く場合、シャープは縦線2本をまっすぐ、横線2本を斜めに書きます。 ナンバーサインはその逆で、縦線の方を斜めに書きます。 「そんなん区別が付くかー」と憤慨しましたが、 日本語の「ソ」と「ン」みたいなものでしょうか。

この事実が私にとって衝撃だったのは、 ナンバーサインは数学で集合の個数を表すのに用いるからです。 しかし、皆シャープと呼んでいて、今の今までシャープだと思っていました。 数学の論文や本を見ると、確かにナンバーサインです。 知らずに論文でシャープを使ったりしたら大恥になる所でした。

付記
その後、いろんな所で注意して見てみると、集合の個数を表すのに 「シャープ」も結構使われていることが分かりました。 元々はナンバーサインが本当だったけれど、 シャープも使われるようになった、 ということでしょうか? 私がある論文でナンバーサインを使った所、 レフェリーに「ナンバーサインでなく、絶対値の記号を使え」と言われました。 まあ、好き好きなのでしょうね。

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