数式処理ソフトの紹介
直接の研究内容ではありませんが、
ここでは私の用いている数式処理ソフトの利用方法について簡単に紹介します。
私が主に用いているソフトは、Mathematica、UBASIC、PARI/GP、MAGMA です。
本格的にプログラミングするなら C なのでしょうが、
素の状態では大きな数が扱えないなどの制限があるため、
私はほとんど利用していません。
他にも Maple、Risa/Asir、GAP、NZMATH など著名なソフトが沢山あるのですが、
私の守備範囲ではありませんのであしからずご了承下さい。
私は何か計算したいことがあると、まずは使い易い Mathematica に計算させます。
それで計算しきれない場合や、ダブルチェックしたい場合には UBASIC、
PARI/GP を用います。それらで手に負えない計算や専門的な計算に MAGMA を使用します。
以下、それぞれの特徴を述べます。より詳しくはリンク先の詳細ページへどうぞ。
Mathematica
私が初めて用いた数式処理ソフト (分数の計算ができるのに感動しました)。
対応OS:UNIX, Windows, Macintosh.
長所:関数が非常に豊富。インターフェースが分かりやすく初心者向き。
扱える数の大きさに制限がない (これは長所と言って良いのかは微妙)。
短所:有料 (約20万円、学生版は約3万円)。メモリをかなり占有するので重たい。
他のプレーンなソフトに比べて処理が遅い (それほど激しい計算をするのでなければ、
ほとんど気にはなりませんが)。ソースが公開されていないので、
内部で何が行われているか分からない (まあ、商用ですから当り前です。
どのソフトでも同じことが言えますが、完全に信用するのは危険です)。
詳細ページ
(数式処理の授業で用いたレジュメを置いています)
UBASIC
立教大学の木田祐司先生による、BASIC 風プログラム言語。
ダウンロードもできる本家サイトは
こちら。
対応OS:Windows (元は MS-DOS).
長所:フリーソフト。数論的関数が豊富。非常に速い (私の感覚では
Mathematica の数十倍速い)。2600桁強までの数が扱える。
計算途中の状態を保存できるなど、使い勝手が非常に良い。
短所:Windows 機でしか使えない。現在ほとんど開発が止まっている。
詳細ページ (工事中)
PARI/GP
整数論への応用を念頭において PARI/GP group により開発されているソフト。
正確には PARI は C の library を指し、GP はそれを利用した対話型インタプリタを指す。
ダウンロードもできる本家サイトは
こちら
対応OS:UNIX, Windows.
長所:フリーソフト。数論的関数が (UBASIC よりさらに) 豊富。
八千万桁強までの数が扱える。
短所:計算させる内容にもよるだろうが、UBASIC よりは処理速度が遅い。
GP スクリプトを C に翻訳する GP2C を用いれば処理速度は上がるが、
UNIX でしか用いることができないのと、対応していない関数があるのが難点である。
詳細ページ (工事中)
MAGMA
対応OS:UNIX, Windows, Macintosh.
有料。ただし商用ではなく、運転資金のために有料なのだそうです。
しかし、個人で買うと 1150 ドルなので安くはありません。
まとめて買うとかなり割安になり、学生割引等の各種割引もあります。
本家サイトはこちら。
本部はシドニー大学にあり、日本支店などありませんので、
英語のサイトを注意深く読み、メール (もちろん英語) で注文しなければなりません。
初心者にはやや敷居が高いかもしれません。その後、
アカウントをもらってダウンロードするのですが、
一括してダウンロードすると結構な時間がかかります。
ダウンロードの際のパスワードはこちらで決められますが、
RSA で暗号化してメールするように求められます。
そのための C プログラムおよび使用法が送られてきますので、
RSA や C が分からない人でも安心です。
また、不正コピーを防ぐために、個々のマシンに対応したパスワードファイルが必要です。
ライセンスは3年間有効ですので、その間であれば、マシンを紛失したり、
新しいマシンを購入した場合でも新しいパスワードファイルを発行してもらえます。
最近使いはじめたのでよく分かっていませんが、非常に大規模です。
マニュアル (pdf ファイル) が 4000 ページもあるのにはたまげました。
全然目を通せていませんが、マニュアルの目次を見ると、
線形代数、群や環などの代数構造、代数幾何、符号、暗号などの分野で、
専門的な計算ができるようです。
私は代数幾何のほんの一部分の楕円曲線が専門ですので、
やっとその部分で何ができるのかを把握しつつあります。
他の数式処理ソフトと比較して、かなり新しい研究成果が採り入れられていますので、
非常に強力です。
今まで自分でプログラムしてきたのが何だったのか、と少し悲しくなってきます。
次のページでその威力がお分かりになるかと思います。
詳細ページ (現在の所、
初心者向けではない計算例です)
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