素数とは


素数は中学生のときに習うはずで、数学をやってる人には常識ですが、 一般に浸透している概念ではないようですので、一応説明します。 素数とは 「1と自分自身以外に約数を持たない数」 のことです。 これで意味が分からなくても心配しなくてよいです。 私は学生時代に中学生相手に塾で教えていたのですが、 この説明をしたとたんに 「わからん、わからん」 の大合唱でした。 「あのね,例えば 6 の約数は 1、2、3、6 の四つだけど、 1 と 6 が約数なのは当たり前でしょう。それ以外に 2 と 3 も約数だ。 だけど、7 の約数は 1、7 しかなくて、当たり前のものしかないわけね。 だから 7 は素数で 6 は素数じゃないんだ。」 この説明でも「わからん、 わからん。」 それで言い方を変えて「二つしか約数がない数」が素数です、 と説明しました。分かってくれる人がちらほら。「6 は 2×3 と掛け算に表せるね。 六つのおはじきを長方形に並べることができる。でも 7 はそうはいかない。 1×7 はつまらなすぎるからだめ。つまり長方形に並べることができなくて、 一列に並べることしか出来ない数が素数です。」 我ながらうまい説明だと思っていましたが、 何かの本に同じことが書いてありました。皆考えることは同じですね。
このように、素数というのは掛け算に関して整数を構成する最小の要素です。 物質における元素のようなものです。元素は自然界に九十二種類しかありませんが、 素数は無限個あります。このことは紀元前のユークリッドがすでに知っていました。
それから、1は素数に数えません。理由は、素因数分解の一意性が保たれなくなるからです。 全くどうでもよい話ですが、昔見た何かのクイズ番組で、「一桁の素数は何個?」 という問題に「四個」と答えた人が不正解になってました。 おそらく出題者が1も素数だと思っていたのでしょう。 数分後に「四個が正解でした」とテロップが流れましたが、 録画だったので回答者は救われなかったようです。
 ところで、数論の人はなぜだか素数が好きです。 私も素数が好きで、何か数を見ると素数かどうか判定してしまいます (もうすぐ歳が素数になるなあ、6年ぶりだなあ、など。一種の病気です)。 ちなみに、大きな数が素数かどうかを判定することは大変難しいです。 いかに効率よく素数かどうか判定することは、数学にとって大きな問題のひとつです。

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