微分方程式序論

内容

常微分方程式の入門講義。講義を始めるに当たっての私の目標は、以下の2点であった。
1.簡単な常微分方程式の初等解法を学ぶこと。
2.微分方程式が数理モデルの記述言語としての役割を果たしていることを理解すること。
講義を終えて考えてみる時、2つの目標を十分に達成することができなかったことは残念である。

2001年度の講義で扱った内容は、微分方程式の分類、一階正規形方程式の初等解法(変数分離型、完全微分形、一階線形常微分方程式と定数変化法)、一階正規形方程式で記述される問題(斜方投射、人口問題のモデル)、初期値問題の解の存在と一意性に関する若干の注意、一階非正規形常微分方程式の解法(陰関数定理、特異解)、高階線形常微分方程式の解法(斉次方程式と非斉次方程式の関係、基本解系、ロンスキー行列式、定数変化法、定数係数の場合、特性多項式、未定係数法)、高階線形方程式で記述される問題(ばねの振動)。

演算子法、連立方程式について全く触れることができなかった。

教科書

梅沢、富樫共著  「やさいい微分方程式」  培風館

この本の50ページくらいまでの内容を解説した。

進度表

講義回数
項目
講義内容
1
§1 序章 §1.1 微分方程式とは? §1.2 微分方程式の歴史  微分方程式とは?ODEの例。微分方程式の種類。歴史的なこと(ニュートン、ポアンカレ)。講義の目標。
2
§1.3 常微分方程式の分類 §2 1階常微分方程式の初等解法 §2.1 正規形の場合 §2.1.1 変数分離形 1階常微分方程式(正規形と非正規形)。線形方程式(斉次と非斉次)と非線形方程式。初期値問題。一般解。積分定数。変数分離形の解法
3
§2.1.1 変数分離形(続き) §2.1.2 同次形 変数分離形の解法と問題例。分母分子が同次式のときの変数分離形への帰着。
4
変数分離形のODEによって記述される数理モデル 斜方投射(ホームランボールがもっとも飛ぶのは?)。人口問題のモデル方程式(マルサスの法則、ヴェルハルストの法則、参考資料)。
5
§2.1.3 完全微分形 完全微分形の方程式の解法
6
§2.1.3 完全微分形(続き) 完全微分形の方程式の解法(続き)。積分因子。
7
問題演習 問題
8
§2.1.4 1階線形微分方程式 斉次と非斉次。定数変化法。
9
§2.1.5 今までの初等解法に関する反省 初期値問題の解の存在と一意性。解の延長可能性。解の一意性が崩れる例。
10
§2.2 1階非正規形常微分方程式の解法 陰関数定理を用いた正規形への帰着のしかた。特異解が現れる場合と特異解の求め方。
11
問題演習 問題
12
§3 高階線形微分方程式 §3.1 斉次の場合 §3.2 非斉次の場合 初期値問題の存在定理(紹介)。基本解系。Wronski行列式。斉次と非斉次の関係。
13
§3.2 非斉次の場合(続き) §3.3 定数係数の場合 定数変化法。特性多項式。定数係数の場合の基本解系の求め方。
14
§3.3 定数係数の場合(続き)  未定係数法。
15
§3.4 高階線形微分方程式であらわされる数理モデル(バネの振動) 自由振動。減衰振動。減衰強制振動。強制自由振動。共振。試験のことなど。

試験問題

試験問題